木簡と紀伊国

藤原京や平城京などから出土した木簡の中には、紀伊国の地名が記されたものが四十点以上も含まれている。これらの大半は、紀伊国から都へ納められた調や贄などの貢納物に付けられた荷札である。貢納物の品目を見ると、紀伊国は海に面した地域であるため、調としては塩、贄としては魚介類を納めるのが一般的であったようである。木簡に見える地名の多くは、表記が多少異なるものの、現在の位置をほぼ推定することができる。